すずき設備社長の鈴木だ。
多くのユーザーは、家を建てた時に「給湯器が家の中(家の外)にあった」というだけで、それを最初から希望したという人は、ほとんどいないんじゃないかと思う。
給湯器を交換するタイミングに差し掛かっても、とりあえず何も考えずに「今までと同じような機械を…」というユーザーも多い。
特に金額差が開くということはないから今までとずっと同じでいくのも1つだが、ユーザーによっては屋内型と屋外型を変更することで利便性が増す場合もある。
今回は、屋内タイプと屋外タイプのそれぞれのメリット・デメリットについて解説していこう。
屋内タイプと屋外タイプの話に入る前に…
まずはじめに書いて置くが、基本的にはこれらの関係性(屋内タイプ⇔屋外タイプ)は相反している。屋内タイプのメリットは、屋外タイプでは得られないメリットとなることがほとんどだ。
以下では屋内タイプのメリット・デメリットとして進行していくから、その逆が屋外タイプのメリット・デメリットだと思ってくれ。
屋内タイプのメリット
雨風が直接当たらない
雨風が直接当たったせいで、給湯器の故障に繋がったというケースはほとんど見たことが無いが、多くのユーザーは機械に雨水が当たるという状況が気になるらしい。弊社としては、変に簡易的な小屋で囲われるくらいだったら、黙って家の中に設置した方がいいんじゃないかと思っている。
もちろん「外置きの給湯器の方が壊れやすいんじゃないの?」と聞かれたら、実際にはそんなことはなく、屋外設置の給湯器の方が壊れやすいというデータがあるとすれば「雪国/海沿いの家」くらいだろう。
海沿いの家は塩害の被害で外装部が腐食し、そこから雨水が侵入してしまう可能性がある。
雪国の場合は、設置位置によっては落雪などの影響を受けることが考えられるが、この場合は屋内タイプであっても「煙突が潰れる」という可能性があるから、あまり関係ないかもしれないな。
リモコン線の腐食が起きにくい
屋内タイプと屋外タイプの給湯器を比較した時に、「リモコンが付かない」という内容の故障に関しては、圧倒的に屋外タイプの給湯器の方が多い。
理由としては、リモコン線は被覆を剥いた状態で給湯器内の端子台に接続されていることが多いのだが、この端子台が家の中と家の外にあるのとでは、腐食速度が大きく変わってくるからだ。
屋外タイプだと直接の雨風が当たらなくても湿気などの影響を受けるようで、給湯器自体の部品はある程度の湿気には耐えられるようになっている。しかしリモコン線は細い銅のより線であることが多いから、モロに影響を受けてしまうということだ。
ただしこれについては、厳密に言うと給湯器外の故障になる。リモコン線はあくまでリモコン線、給湯器の部品ではない。分かりやすく例えるのも難しいが、テレビのリモコンが付かないという場合のリモコンの電池のようなものだと思ってくれ。
屋内タイプのデメリット
家の中のスペースが狭くなる
多くの家では、洗面所に給湯器を設置しているのではないかと思う(ボイラーを置くだけの小さな部屋がある家庭も少なくないが)。
確かに壁掛けタイプにするなどすれば、デッドスペースを解消することには繋がるが、それでもやはり給湯器のある洗面所と無い洗面所を比べると、その広さは圧倒的に変わってくるだろう。
多くの家では、狭い空間で「なんとか邪魔にならないように…」と考えて給湯器を設置していることが多いため、だったらいっそのこと「外に置いたらどうだろうか?」と思う現場も少なくない。
特に床置きで屋内タイプの給湯器を使っている場合は、小さい子供の手の届く範囲に排気筒がある場合もあり、意外と火傷などの事故に繋がる危険性もはらんでいる。
排気筒など初期費用が高い
屋外タイプと屋内タイプの本体価格を比較すると、本体価格にはそこまで大きな差は見られないが、どちらかと言えば屋内タイプの方が初期費用は高くなることが多い。
理由としては、屋内タイプの場合は排気筒が必要になってくるからである。強制給排気方式の場合は排気筒がどんなに安くても15000円~20000円くらいするため、初期費用については少しだけ屋内タイプの方が高い傾向にある。
そしてガス給湯器の場合、家庭用給湯器には16号、20号、24号という3パターンの燃焼能力を持った物が主流となっているが、何らかの理由で「これまでは24号を使っていたけど、買い替えのタイミングで16号を検討したい」というユーザーも少なくない。
このような場合に、屋内タイプだと煙突のサイズが変更になることがある。一般的には燃焼能力が高いものほど価格も高くなるため、少しでも費用を抑えたいという一心で燃焼能力を下げたいと考える人が多いが、その結果「今までと煙突のサイズが変わってしまうから、穴埋め部材が必要になる」と言われてしまうと、費用の面では恩恵を受けられなくなってしまうだろう。
あとエコタイプの給湯器に切り替える場合も、屋内タイプの方がドレン配管の施工が面倒である場合が多く、取付工事費という観点から言っても屋内タイプの方が金額的にも高くなるケースが多いだろう。
最後に
屋内タイプにするか屋外タイプにするか悩んでいるユーザーがいるなら、多く場合は外置きの給湯器をおすすめしたい。例外として雪国の場合、海の近くの場合など。マンションなどの集合住宅においても難しいだろう。
ただ1つ言っておきたいのは、屋外タイプだからと言って極端に早く故障するということは無いということだ。ぜひ、参考にしてくれ。