鈴木設備社長の鈴木だ。
設備屋をやっていてユーザーからよく聞かれるのは「給湯器を長持ちさせる方法は?」というものだ。
給湯器は生活必需品のため、年間を通じて使わない日がほとんどない。そして予期せぬタイミングで壊れてしまうということもあり、少しでも長持ちさせたいという人がほとんどだろう。
ハッキリ言って給湯器を長持ちさせることができる絶対的な方法は存在しない。しかし「最低限これだけは覚えておいて欲しい」ということが1つだけある。今回はそれについて紹介したい。
給湯器を長持ちさせるための方法
給湯器を長持ちさせるためにたった1つ、覚えておいて欲しいのは「防げた故障をなくすこと」である。
防げた故障というのは「ユーザーの管理不足等によって引き起こされる故障」のことだ。「ちゃんと対処していれば故障しなくて済んだのに…」というケースをなくすことが重要である。
例えば「凍結」は最たる例で、ほとんどのケースにおいてユーザーの対処次第で防げる故障だ。凍結予防のヒーターが故障してしまったという場合は仕方ないかもしれないが…。
多くのケースで「しばらく家を空ける関係で、うっかりブレーカーを落してしまった」とか、「大寒波が来るのは分かっていたのに水抜きを怠った」などが起こっている。
そしてこれらは、ユーザーの心持ち次第でいかようにも防げた故障と言えるだろう。
このような故障をなくすことが、給湯器を長持ちさせる方法の基本的事項だと言っても過言ではない。
ユーザーが防げる故障内容について
凍結
よくあるのは「一人暮らしをしていて、正月に実家に帰る際、水抜きをせずにブレーカーを落としてしまう」というパターンだ。
屋内設置の給湯器であれば凍結破損に至らない運の良いケースもあるが、雪国住まいの人の場合、屋外の給湯器やバランス釜は間違いなく凍結破損に繋がるだろう。
これは水抜きを行うことで、ほぼ100%防ぐことが可能だ。ただし、水抜きの正しい方法を理解していないと、足元をすくわれてしまう可能性もあるから注意してほしい。
水抜きの正しいやり方は、各給湯器メーカーの公式サイトでも案内されているし、取扱説明書にも記載されていると思う。ぜひ、押さえておこう。
関連記事給湯器の凍結、配管の凍結を予防、解消するための3つの方法とは?
浴槽掃除
凍結の次に多いのが「掃除不足、メンテナンス不足」に関する故障だ。
追い炊き機能付きの給湯器を使用している場合、浴槽には循環フィルターと呼ばれるフィルターが搭載されているケースがほとんどであるが、これの掃除が行き届いていないせいで故障に繋がるケースがある。
大半は「フィルターにゴミ詰まり→うまく循環できない」ということで正常に動作しないという内容になるため、フィルターを掃除してやれば問題なく動作するようになる。
ただし、フィルターが詰まった状態で動作した時間が長ければ長いほど、循環ポンプに掛かった負荷は大きくなっているから、通常よりも劣化が進んだことも否定できない。
最も最悪なケースは、フィルターの奥までゴミが入り込んでしまったケースで、こうなってしまうと給湯器の風呂回路の詰まり、ポンプの詰まりを引き起こしてしまうだろう。
これについてもちゃんと浴槽を掃除すること、フィルターを取り外してゴミを取り除き、しっかり装着することで防げる故障内容である。
ちなみに入浴剤についてだが、給湯器にはあまり良くない。よくパッケージを見ていると「釜に影響を与えるイオウは含まれていません」等と書かれているが、イオウが入っていないから問題ないという意味ではないから注意してくれ。
どうしても入浴剤を使用するのであれば、使用後に配管洗浄をセットで行うとか、そもそも追い炊きをしない等の対策をすれば、入浴剤の影響を限りなく小さいものにできるだろう。
あとは定期的に配管洗浄剤を使用したり、年に1回くらいは思い切ってプロに依頼してみるのもアリだ。
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外部サイトプロが教える「入浴剤が給湯器に与える影響」について
定期的な点検、観察
あとは「給湯器にもっと注意を払う」ことが有効だ。家の中にボイラー室があったり、屋外に設置されているという場合に、給湯器を定期的に確認するという人は少ない。
雪国に住んでいて屋外に給湯器が設置されているという場合であれば、給湯器に落雪があって給湯器本体が変形していることもあるし、排気口の位置まで積雪があるかもしれない。こうなると給湯器が酸欠し、燃焼不具合を引き起こす原因となる。
あと「故障を防ぐ」のとは微妙に違うが、もし微量の水漏れや黒煙があった場合に早期発見するためにも、最低でも1週間に1度、できれば1週間に2度くらいは給湯器を目で見て、何か変わりがないかを確認してほしいと思う。
ポタポタ程度の水漏れの時点で発見できれば、そこまで大幅な修理にならないことが多いが、ここで発見できずにジャバジャバ水漏れしているような状況下では、二次被害の心配も出てくるだろう。
毎日使用しているものだから、それなりに注意して見てもらえればと思う。
プロに点検依頼をするのは有効か?
よく「年数の経った機械は点検してもらった方がいいのか?」という質問をもらうが、ハッキリ言って故障を未然に防ぐのは難しいと言わざるを得ない。
特に年数の経った機械においては「点検時点で悪い部分は見抜けるが、その時は正常と判断した部品が1週間後に壊れてしまう」ということも珍しくないのだ。
もちろん点検を受けたユーザーからすれば「故障しそうな部品なら点検の時に代えてくれれば良かったのに」と思うだろう。
ただし「故障しそうだから交換するか」ということを言い出すと、10年近く使用した給湯器の部品はほとんどがそれに該当してしまう。
ガス給湯器の燃焼管(バーナー)などをコンプレッサーでオーバーホールすることは効果的であるケースも多いが、いくらプロの点検と言えど絶対的なものではないから、「気になるなら申し込んでみれば?」というのが正直なところだ。
最後に
給湯器は長持ちさせるというよりも、「ユーザーの使い方が原因で故障してしまうのを防ぐ」ということが重要だ。
いくら注意を払っても故障してしまう時は故障してしまうものだから、なるべく「本来なら故障しなかった」というケースをゼロにすることが、結果的に長持ちに繋がるのではないだろうか。
ぜひ、参考にしてくれ。