すずき設備社長の鈴木だ。
現在セミ貯湯式を使用しているというユーザーの中には、直圧式給湯器への変更を検討している人も多いと思う。ガス給湯器には直圧式しかないということもあり、現時点での給湯器の主流は直圧式と言ってもいい(電気温水器の類は貯湯式である)。
地下水や井戸水を使用しているという場合は、仕方なくセミ貯湯式を採用しているという人も少なくないだろうが、そのような事情がなくて「水圧が強い給湯器の方がいい、使いやすい給湯器の方がいい」という場合は、文句なしに直圧式給湯器をおすすめしたい。
以下では「直圧式石油給湯器のメリット・デメリット」について解説するので、ぜひ参考にしてほしい。
直圧式の石油給湯器とは?
石油給湯器には、大きく分けて直圧式とセミ貯湯式の2種類が存在している。大きな違いは水圧の強さで、簡単に言えば「水圧が強い給湯器が直圧式」だ。
普段から直圧式の給湯器を使っている人は「お湯の蛇口を全開にした時と水の蛇口を全開にした時の水圧が一緒」であるから気付かないかもしれない。
しかしこれがセミ貯湯式の場合だと、明らかにお湯の蛇口を開けた時の水圧が弱いのだ。もし「うちはセミ貯湯式だった」という人がいたら、以下の記事を読んで欲しい。
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直圧式石油給湯器のメリット
水圧が強い
直圧式の給湯器は水圧を弱めることなく使用できるため水圧が強い。強いというか減衰していないというべきだろうか。シャワーだと「水圧が強くないと嫌だ!」というユーザーもいるだろうが、そういう人は直圧式の給湯器を採用した方が無難だろう。
セミ貯湯式給湯器の場合は、お湯だけだとシャワーは完全に勢いが弱いため、多くの場合で「お湯をすごく熱い設定にして、それに水を混ぜて水圧を高くする」という使用方法になる。慣れればどうってことはないが、直圧式ユーザーが貯湯式を使うことになれば不便さを感じるはずだ。
設定温度通りのお湯が作れる
直圧式の給湯器はリモコンでお湯の温度を1℃単位で設定できる。38℃なら38℃、41℃なら41℃のお湯がしっかり作れるというのは大きな利点と言っていいだろう。
これがセミ貯湯式の給湯器となると、1~7までの大まかな数値で温度調整をするタイプの機種が多いため、40℃のお湯を出したいと思ったらユーザー側で水を混ぜて調整しなくてはならない。
全ての蛇口にサーモが付いていて、蛇口側でも温度調整できるようになっていればそこまでの不便は感じないだろうが、サーモが故障してしまったり、お湯と水とで蛇口が完全に分かれているという場合は一気に不便になってしまうから注意してくれ。
壁掛けタイプが存在する
外置きの場合は問題ないかもしれないが、洗面所に給湯器を設置しているという人も多いだろう。洗面所に給湯器を設置している多くのユーザーは「洗面所は少しでも広く使いたい」と考えるのではないだろうか。
そんな時に壁掛けという選択肢を持てるのは大きい。壁掛けタイプならスペースを有効活用できるからだ。水質などの兼ね合いで貯湯タイプの給湯器を使用している場合は、残念ながら壁掛けという選択肢は取れないが、それ以外のユーザーには壁掛けタイプは本当におすすめしたい。
床置きタイプの給湯器だとデッドスペースが増えてしまうし、煙突周りで火傷してしまう恐れも出てくる。小さい子が煙突を触って火傷をしてしまうという可能性が無いとは言い切れないため、床置きタイプの場合は注意が必要だが、壁掛けなら煙突に手が届くこともないし安心できるだろう。
湯張りが速い(湯張り機能付きの場合)
湯張り機能が付いているタイプの給湯器であれば、直圧タイプの方が圧倒的に早く沸き上がる。というかセミ貯湯式の場合は湯張りに時間がかかりすぎるため、湯張り機能が欲しいというユーザーは、よほど大きな理由がない限り直圧式給湯器を選んだ方がいいだろう。
それに細かい説明は割愛するが、セミ貯湯式の給湯器は、追い炊きをする時に設定温度を高くする必要がある。直圧式なら「給湯は給湯、風呂は風呂」という独立した回路で成り立っているが、セミ貯湯式の場合はそういうわけにもいかないため、結構不便に感じるユーザーも多い。
セミ貯湯式給湯器は1~7までの大まかな数値で温度調整をするタイプの機種が多いため、普段から7に設定して水を混ぜて使用するという人もいれば、普段は4とか5に設定してそのまま使うという人もいる。ただし、お風呂を沸かすときは7にしないと動かないことがほとんどだから慣れが必要だ。
直圧式石油給湯器のデメリット
金額的に高い
「初期費用を少しでも抑えたい」というユーザーにとっては頭が痛いかもしれないが、同じグレードの機器で比較するなら直圧タイプの方が本体価格は高い。
しかし、この先10年使用する物だと考えたら微々たる差なので、金額的な問題だけなら多少無理をしてでも妥協しないことをおすすめする。
セミ貯湯式と比べると壊れやすい
言い方に語弊があるかもしれないが、あくまでセミ貯湯式と比べると「故障しやすい/壊れやすい」と言えるだろう。しかしこれは、どちらかというと「セミ貯湯式が直圧式に比べて長持ちする」という意味だと思う。「悪/良」ではなく「上/特上」のようなニュアンスだと思ってほしい。
壊れやすい原因の中には、直圧式の方が使い勝手が良い分、構造が複雑になっているということが挙げられるだろう。やはりアバウトな温度でしかお湯を出せない給湯器と、設定した温度のお湯をバッチリだせる給湯器を比べてしまうと、どうしても後者の方が構造が複雑になるため壊れやすくなってしまう。
水質が悪い地域で使用しにくい
地下水や井戸水を使っているというユーザーなら、直圧タイプを使ってしまうとすぐに水漏れしてしまうことも珍しくない。直圧タイプは水通路部がほとんど銅パイプで構成されており、一部配管がステンレスで構成されているセミ貯湯式と比較すると水漏れに対する耐性は低いと言わざるを得ないだろう。
言い方を変えるなら「水質が悪い地域に住んでいるなら、セミ貯湯式をおすすめしたい」という言い方もできる。少しでも安い方がいいということで妥協するのはおすすめしないが、水質関連の悩みを抱えている場合は、セミ貯湯式の方がいいかもしれない。
最後に
水質的な制約がないなら、絶対に直圧式をおすすめしたい。使い勝手も良くて水圧も強く、これで慣れてしまったらセミ貯湯式には戻れなくなってしまうだろう。
俺はこれまでに多くのセミ貯湯式を直圧式に交換してきたが、多くのユーザーが満足してくれている。ぜひ、参考にしてくれ。