すずき設備社長の鈴木だ。
給湯器は急に故障してしまうケースがほとんどであるが、そのうちの一部は前兆を伴うことも少なくない。そのサインを見抜くことができれば、早期修理によってトータル費用を抑えることもできるだろう。
それに完全に壊れてしまってからでは、お湯が使えなくなってしまう期間も発生してしまうため、故障の前兆が分かるなら参考にしたいというユーザーも少なくないはずだ。以下では「給湯器が壊れる前兆に多く見られる症状」をピックアップして開設するので、ぜひ参考にしてほしい。
給湯器が壊れる前兆に多く見られる症状
- 燃焼不良、燃焼能力の低下
- 出湯温度が安定しない、出湯温度にムラができる
- 異音、運転音が大きくなる
- 水漏れ
燃焼不良、燃焼能力の低下
経年劣化した給湯器で最も多くみられる症状は「燃焼不良」である。はっきり言って使用から10年前後になるような給湯器で、燃焼能力が低下していないものはほとんどないと言っていい。
その中でも特に深刻なのは、不完全燃焼に近い状況になっている給湯器だ。見極め方としては燃焼音の大きさや排気のにおいを確認するといい。石油給湯器なら煤臭いことが多いし、ガス給湯器ならガス臭いことが多い。
あとは排気筒や排気口周辺が黒く変色していないかどうかでも判断できる。特に排気が当たる外壁部分が黒く変色しているような場合は注意が必要だ。
よく見られるエラーはE110~E113、E120~E123である。ひどい場合はE900~E903、E990~E993が表示されるが、後者の場合は使用年数が経っているなら黙って買い替えたほうがいいくらいのエラーだ。
石油給湯器の燃焼エラーE110、E11はまず灯油残量の確認から
出湯温度が安定しない、出湯温度にムラができる
42℃設定にしている場合に、38℃~42℃の間で出湯温度が変動しているという症状の場合は、故障の前兆であるケースが多い。ずっとぬるいという場合は、すでに故障している可能性も含めて給湯器外に原因があるケースも考えられるが、温かくなったり冷たくなったりというのは総じて給湯器の故障の前兆になっていることが多い。
ちなみに「シャワーがぬるい」という症状の場合、給湯器じゃなくてシャワーのサーモ部分に不具合があってそうなっているケースが多いから注意が必要だ。
「シャワーがぬるいから給湯器を新しい物に交換したけど改善しない」ということがたまにあるから注意してくれ。
シャワーのお湯がぬるいと感じたらシャワーのサーモスタットに注意しろ
異音、運転音が大きくなる
前項とリンクしている部分があるが、燃焼状態が悪くなると運転音が大きくなることが多く、場合によっては唸るような轟音を上げるケースもある。
普段から給湯器の音は聞いてるだろうし、もし注意深く聞いていなかったとしても、ふとしたタイミングで音が気になりだしたような場合は「普段とは違う音である可能性が高い」という判断もできるだろう。
関連性のあるエラーはE610等であるが、基本的にはエラーを出さずにお湯が使える状況が続き、いずれ燃焼不具合のエラーを出して停止してしまうことが多い。
水漏れ
給湯器の内部には数多くの部品が搭載されていて、一口に水漏れと言ってもどこから水漏れしているかによって深刻さが大きく変わる。特に水メカとパイプの接続部から水が漏れているだけなら、水漏れしながらもお湯を使えるケースが多く、早期発見できるかどうかでトータルの修理費用も大きく変わってくるだろう。
中にはお湯が使えるからと言って騙しだまし使用しているユーザーもいるが、機器内部で水が漏れているまま使用すると基板を始めとする電装部が二次被害を受ける可能性もあるし、最悪の場合だと家のブレーカーが作動してその他の電化製品にも影響を与えかねない。
水漏れは発見でき次第、修理依頼することを強くおすすめする。
給湯器の機器寿命、耐用年数は7年~10年
7年以上が経過した給湯器なら故障の前兆があってもおかしくない
給湯器の機器寿命は約7年~10年である。7年と10年じゃかなり開きがあるから、7年目に故障してしまった場合に新しい給湯器に交換するのは抵抗があるかもしれないが、これくらいの時期になれば次々と色んな箇所が故障してしまう可能性が否定できない。
そして使用開始から7年目以降であれば故障の前兆があっても全くおかしくないし、むしろ運転音に関しては新品同様のわけがないと言っていいだろう。多少なり運転音は大きくなっていることが予想される。
石油給湯器の寿命と耐用年数ー多くのユーザーが勘違いしている事実
エコ給湯器の場合は中和器が寿命を迎えることも
エコジョーズやエコフィールなどの高効率型給湯器を使用している場合、搭載されている中和器が寿命を迎えるのもこの時期だ。ちなみに中和器は高効率型給湯器内部の結露(酸性)を中和する役割を持った部品で、給湯器部品の中では一定の稼働時間で交換が必要になる部品である。
対応するエラーはE920とE930で、これが表示されると中和器を交換しなければならない。かかる費用は大体15000円前後であるが、これを交換したからと言って他の部分が故障しない保証はないから、即部品交換に踏み切るのではなく、給湯器交換も視野に入れて検討することをおすすめする。
エコタイプ給湯器のエラーE920とE930の厄介さ|中和器寿命
最後に
給湯器の故障の前兆が感じられた場合は、とにかく早期に修理をすることが被害を最小限に食い止める方法だ。例えお湯が使えていたとしても、違和感を感じたらすぐに点検依頼することをおすすめしたい。
早期に発見できていれば20000円くらいで済んだような内容でも、先延ばしにした(発見できなかった)ことによって50000円以上の修理になってしまうケースもあるし、ぜひとも注意を払って観察してみてほしい。
そして年数の経った給湯器を高額修理するくらいなら、新しい給湯器を安く購入することをおすすめするぞ。ぜひ参考にしてくれ。