すずき設備社長の鈴木だ。
給湯器が故障した時、修理ありきで考えるか交換する方向で考えるかによって最初に連絡するところが変わってくるだろう。本来は給湯器メーカーに症状を診断してもらい、高額修理になるとか部品がもう取れないとかで交換に踏み切るというパターンが多いのだが、最近はその手順を省略するユーザーも多い。
理由は大体「メーカーを呼ぶと出張点検料などのお金がかかる」というものだが、確かに出張点検料はこれから給湯器を買う人間にとって金銭的負担が大きいだろう。しかしこれを負担してまでも得られるメリットは決して少なくないのをご存じだろうか?
今回は「給湯器を修理じゃなくて交換を前提に考えている時でも、故障内容をメーカーに診断してもらうメリット」について解説していく。
給湯器交換の際にメーカーに診断してもらうメリット
給湯器が壊れた原因がハッキリする
多くのユーザーが軽視しがちなのが「給湯器が壊れた原因」だ。給湯器の耐用年数は7年~10年と言われているから、10年も使った給湯器が壊れてしまったら給湯器が寿命を迎えたと考えてしまう理由も分かる。
しかし中には「給湯器が壊れたと思っている症状、または給湯器が壊れるに至った原因が必ずしも給湯器にあるとは限らない」というケースが存在する。簡単に言えば給湯器が動かなくなったからと言って給湯器の故障とは限らないし、給湯器が故障したのが事実でも壊れた原因は寿命じゃないかもしれないって話だ。以下で詳しく解説していく。
給湯器が壊れたと思っている症状の具体例
例えば「テレビが付かない」という症状で、自分で勝手にテレビが故障したと思い込み、新しいテレビを買ってきたとしよう。その買ってきた新しいテレビも映らない可能性があるということは、多くの読者が容易に想像できるのではないだろうか。
例えばアンテナ線やアンテナ本体に問題がある場合は、テレビ本体を新しくしたって状況は改善しない。もっと言えば新しいテレビは付くかもしれないが、前のテレビが付かなかった理由はリモコンの電池が無かっただけという可能性すらある。つまり「テレビが付かない=テレビの故障」とは限らないという話だ。
給湯器も一緒で給湯器が動かなくなったとか調子が悪かったからと言って、給湯器本体の故障とは限らない例がいくつもある。具体例を挙げるなら「シャワーの温度がぬるい」とか「お風呂の追い炊きをしてもぬるい」とかエラーを伴わない症状に多い。
これらは設置状況や使用環境に原因があることが多いため、給湯器本体には問題がないということも珍しくないぞ。
シャワーだけお湯が出ないという場合は、シャワーのサーモ不具合だ
給湯器が壊れるに至った機器寿命以外の原因の具体例
あとは給湯器が壊れた原因が機器寿命じゃない場合もある。例えば「給湯器の設置状況が悪くて排気が出ていけずに故障した」等の場合だ。
これは基本的に施工時の問題であり、大体は「給湯器を取り付けてから間もないのに故障した」ということがほとんどではあるが、たまにDIY好きのユーザーが外置きの給湯器に雨風が当たるのを気にして、変に囲ってしまって不具合に繋がるということがある。
このような場合だと新しい給湯器を同じようにして設置すると、またすぐに壊れてしまうことが予想されるだろう。
こんな時に給湯器メーカーのサービス員から点検を受けていれば「囲いのせいで給気不足になって故障した」という診断結果がもらえる。そうなれば次の給湯器はこのまま設置したのではまた故障してしまうということが理解できるというわけだ。
給湯器の交換業者はユーザーに点検を受けてもらいたくない
弊社もそうだが「給湯器を買い替えたい」というユーザーに、わざわざメーカーから点検を受けてもらうように説得はしない。ただでさえ給湯器の交換をする業者が多くて競争になっているのに、ここで修理の選択肢まで持たれてしまうとライバルが多くなるからだ。
だから給湯器が故障して修理するか交換するかで迷っているというユーザーに対しても「メーカーは呼ぶだけでお金がかかる」と言って、買い替える方向に気持ちが傾くようなセールストークをすることもある。
筆者はかつてメーカーに勤めていた経験もあるから、もし給湯器外に故障の原因があると分かったら、新しい給湯器を取り付ける時にその問題点を取り除いて作業する。この問題点が見抜けない業者が交換作業をすると、取り付けたばかりの給湯器がまたすぐに故障してしまうこともあるだろう。
いずれにしても「メーカーは呼ぶだけでお金がかかる」というのは紛れもない事実だし、ユーザー自身もそう思う人が多いだろうが、その一方で「メーカー以外の業者にとっては都合の良い言葉になっている」というのも1つの事実であることを理解してほしい。
最後に
給湯器を交換する際、色んな業者を比較するという人もいるだろうが同様にメーカーから見てもらうかどうかも検討すべきである。
もちろん「修理という選択肢がない」という場合は、メーカーサービスを度外視して考えてしまう気持ちも理解できるが、出張点検料をケチった結果、それ以上の損害を食ってしまうのはあまりにもバカバカしい。
給湯器のメーカーサービスに診断してもらい、一応買い替えの見積もりをもらってそれを武器に他の交換業者と価格交渉するというのも1つの手段だぞ。ぜひ、参考にしてくれ。