すずき設備社長の鈴木だ。
シャワーだけお湯が出ないというトラブルで悩んでいるユーザーをよく見るが、その時に給湯器のメーカーを呼ぶのは上手くない。
結論から言うと「給湯器が悪ければシャワー以外もお湯が出ない」ということになるから、恐らくその場合は給湯器に問題があるとは考えにくいからだ。
以下では「シャワーだけお湯が出ないという故障に見舞われたらどうすればいいか」について詳しく書いていく。
シャワーだけお湯が出ない原因
シャワーだけお湯が出ないという症状に悩んでいる場合、原因は色々と考えられるが、多くの場合は「シャワー水栓のサーモバルブが馬鹿になっている(温調不具合)」可能性が高い。
サーモバルブというのは、一般的にシャワーの左側やハンドルの根本に搭載されている「お湯の温度を調整できる部分」のことである。
シャワーだけお湯が出ないということは、台所や洗面所などでは正常にお湯が出るということであるから、恐らくシャワーの温調部分が故障してしまったと考えるのが普通だろう。
一応、洗濯用水栓からの水が逆流しているという可能性もあるが、この場合はシャワーだけに症状が出るとは限らない。
どこかの水栓から水が逆流しているという場合は、その逆流している水栓の箇所から近い順に影響を受けることになるから、影響の大小はあれど基本的には全ての蛇口で悪い症状が出る。
もしかすると家の配管状況によっては「シャワーでのみ強く影響が出る」という可能性もあるから、一応過去に書いた記事のリンクを貼っておく。
関連記事シャワーのお湯がぬるいと感じたらシャワーのサーモスタットに注意しろ
応急処置の仕方
シャワーのバルブをHに設定してみる
多くのユーザーは「給湯器の温度を割と高い温度に設定し、シャワーで40℃前後のちょうどいい温度に合わせてシャワーを使用する」という方法を取っているんじゃないかと思う。
シャワーだけお湯が出ないという場合は、シャワーのサーモ部分で過剰に水を混ぜてしまっているというケースが多い。
そこでだ。シャワーのバルブを、真っ赤な方に最大限回してみてはどうだろうか。
Hはhighの頭文字に相当するが、給湯器の設定温度が40℃なら40℃のお湯しか出てこないから安心して欲しい。
Hにすれば水が混ざらなくなるため、この状態でお湯を使ってみてどうなるかを試してみてくれ。これで正常に戻るようであれば、シャワー水栓のサーモ部分の故障で間違いないだろう。
水側を完全に止めてみる
もし前項を試してみて「症状はいくらかマシになったが、完全には直っていない」という場合、チャッキ弁などが故障していて水が逆流している可能性がある。
そこでだ。今度はマイナスドライバーなどを使って、水側を完全に止めてみるのはどうだろうか。
多くのシャワー水栓には止水栓と呼ばれる水を止めるための部品が付いている。そこで水を止め、水を完全に無くした状態でお湯を出すとどうだろうか。
理屈的には給湯器で設定した温度のお湯がそのまま出てくるようになるはずだが…。シャワーだけお湯がでないという症状なら、この方法で多くの場合は改善すると思う。
どこに修理依頼をするべきか
給湯器メーカーに依頼する際は注意!
冒頭でも触れたように、このような症状なら給湯器の故障ではない可能性が高いから、給湯器のメーカーを手配しても無駄になるケースが多いだろう。
「じゃあ、どこに連絡をすればいいのか」という話だが、水栓のメーカーか水道屋、設備屋に依頼するのが無難だ。
水栓のメーカーなら間違いないとは思うが、リクシルやTOTOなどの大手ならともかく、メーカーによっては特定のサービス業者がいない可能性もあるから、近くの水道屋でもいい。
もし給湯器が壊れたと思って給湯器メーカーを呼んでしまうと、自分たちの管轄外だと言って出張点検料だけ取られてしまうことがあるから注意してくれ。
「業者を呼びたいけど知ってる業者がいない」という場合は、以下に水道救急センターのリンクを貼っておくから参考にしてほしい。
水栓の修理はあまりおすすめしない
基本的に「シャワーだけお湯が出ない」というケースで、シャワー水栓を修理するということはあまりおすすめしない。その理由は「コスパが悪いから」である。
まずシャワー水栓自体が、物を選ばなければ10000円前後で購入できる物も用意されているし、そこまで高い物ではない。
それにもかかわらず修理に固執した場合、修理費用はどんなに安くても「部品代、作業料、出張料」と掛かるから、5000円は超えてくることがほとんどだろう。
それに多少知識や経験のあるユーザーなら、「自分で修理というのは難しくても、自分で交換はできるかも…」という人も少なくない。
そういう人なら、修理はせずに自分で新しいシャワー水栓に交換した方が、水栓自体の再故障におびえることもなくなるし、最もコスパが良い方法と言える。
水栓の交換はDIYでも可能?
大多数の現場では「シャワー水栓=いずれ交換が必要になる部分」ということで、後々交換する時のことを考えて施工してくれていると思う。
つまり少しでもDIYに興味があって、多少の事なら挑戦しているという人にとっては、水栓交換工事はそこまで難易度が高くない。
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種類は色々あるが、値段の高低は素材や機能によって変わる。
樹脂製よりは金属製の方が高いし、単なるシャワーヘッドよりもスクリュー機能やエアーイン機能などが充実している方が、水栓そのものの価格は高くなりやすい。
基本的にシャワー水栓を丸ごと交換する場合は、付く・付かないは無いと思っていい(現場によって「このシャワーは取り付けられない」などの問題はあまり無い)。
イレギュラーなケースがあったとしても、そのうちのほとんどは然るべきアダプターを使えば問題なく対処できるだろう。
悪徳水道業者には注意
「知り合いの水道業者がいない」という人も多く、ネット上で水道業者を探したり、あるいは「冷蔵庫に貼ってあるマグネットの連絡先に連絡してみる」という人も少なくない。
そして、その一部のユーザーが悪徳業者に騙されているというニュースを聞くケースが非常に増えてきた。水道設備の修理費用の相場が分からなければ、ぼったくり価格を提示されても気付けないこともあるだろう。
理想は「複数社に現場を診てもらって見積もりを提示してもらう」ことであるが、急いで修理して欲しいという場合はそれも簡単ではない。
もし依頼した水道業者に対して不穏な空気を少しでも感じたら、別の業者にも相談してみることをおすすめする。
最後に
シャワー水栓の故障は割と多い。特にシャワーは全身で浴びるからわずかな温調不具合にも敏感に気付けることも多いだろう。
シャワーだけの不具合なら、給湯器は関係ないことがほとんどだ。ぜひ参考にしてくれ。