すずき設備社長の鈴木だ。
一般ユーザーの中で「給湯器本体や給湯器リモコンの電源って、普段どうすればいいの?」という疑問を持っている人は非常に多い。
結論から言うと「給湯器の電源は入れっぱなしでもいいし、節電したいならその都度切ってもいい」という答えになるのだが、使用している機種によって「こうした方がいいんじゃないか?」という具体的な例もある。
以下では「給湯器リモコンの電源入れっぱなしって問題ない?」というテーマで進めていく。
給湯器の電源を入れっぱなしにすることのメリット
使いたい時にお湯が使える
基本的に「石油給湯器の壁掛けタイプ」以外なら、リモコンの電源を入れてすぐに蛇口を開けても給湯器が動作するから気にしなくてもいい。
しかし石油給湯器の壁掛けタイプを使用している場合だと、リモコンの電源を入れてから1分程度待たなければお湯は使えない。お湯を使う頻度に比例して待つ時間も長くなるから、この辺りは人によってはデメリットになるだろう。
熱交換器が結露しにくい
誰しも一度は経験があるかと思うが「お湯の蛇口を開けたら水しか出てこなくて、リモコンを見たら電源が入っていなかった」というパターンだ。この時、給湯器の中を冷水が通ることになる。
もしこれが「さっきまでお湯を使っていた→電源を切る→またお湯を使いたくなり蛇口を開けるも水しか出てこない→リモコンの電源を切っていたことに気付く」というような展開が続くと、急激な温度差によって熱交換器が結露してしまうことがある。
機種にもよるが熱交換器は銅で作られていることが多く、結露は錆びや腐食の原因にもなりかねない。1度や2度くらいで致命的なダメージを受けることはないが、これが習慣化していると熱交換器の劣化は早まるだろう。
水なら水、お湯ならお湯を徹底するためにも、リモコンの電源を入れっぱなしにしていれば「お湯の蛇口からはお湯しか出てこない」という状況が作れるから、頻繁にお湯を使うなら電源を入れっぱなしで問題ない。
給湯器の電源を入れっぱなしにするデメリット
電気代がかかる
電源を入れっぱなしにした際のデメリットは、何といっても電気代だろう。特に気化式バーナーを採用している機種(石油給湯器の壁掛けライプの多く)は、気化器で電力を消費するため、節電を意識するなら注意が必要だ。
ただしガス給湯器の多くやガンタイプバーナーを採用している機種の場合は、そこまで待機電力は大きくない。個人的には「ガス給湯器や床置きの石油給湯器なら、電源入れっぱなしでもいいのでは?」と思っている。
ガス給湯器だと、電源を入れっぱなしにしていても電力消費するのはリモコン表示くらいだし、その表示もエコ設定で「一定時間操作しなければ勝手に省電力モードに切り替わる」という機能がある。
もちろん待機電力もわずかにあるだろうが、お湯が使えるようになるまでに待機時間が発生する気化器の待機電力に比べたら可愛いものだろう。
むしろ屋外設置の給湯器において、配管の凍結予防のために巻き付けているヒーターがあるのだとすれば、そっちの消費電力を気にした方がいい。
家の中に設置しているタイプなら関係ないが、雪国などの寒い地域で外設置の給湯器を使用している場合は、給湯器外の配管が凍らないように別途でヒーターを利用しているケースが多い。
こいつの消費電力はえげつないから、寒い時期以外はコンセントを抜いているユーザーも少なくない。しかし、それだと「いざ寒くなった時にコンセントを差し忘れた」なんてことが起きたら、とんでもないことになってしまう。
それを防いでくれるのが「凍結予防ヒーター用節電器」だ。これは大きな節電効果ももたらしてくれる便利アイテムなので、雪国住まいで外設置の給湯器を使用している人は、ぜひ導入してみて欲しい。
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お湯配管が破損した時に給湯器が燃焼動作に入る
給湯器の電源を入れていると、蛇口を開ければ常に燃焼動作に入る状況なわけだが、この時に「お湯配管のどこかが破損して水が漏れてしまうような状況」になった場合、給湯器リモコンの電源を入れていると水漏れじゃなくお湯漏れになってしまう。
ただでさえ水道料金がかさむのに、追い打ちでガス代や灯油代もかさんでしまうというわけだ。
とは言っても、給湯器が燃焼動作に入るためにはある程度の水量が必要になるため、蛇口を開けたほどの水量が出てしまう水漏れじゃなければ問題ないし、それを言い出したら「あれもこれもやらなきゃいけない」ということが増えるのも事実だ。
それを危惧して給湯器の電源を切っているのだと知れば、外出する時はガスもメーターで遮断し、家のブレーカーを落とし、すべての家電製品のコンセントプラグを抜く…くらいの行動に近いと言えるだろう。
「電源を入れてないと凍結する」は嘘
給湯器のことをあまり知らない人だと「冬場は給湯器の電源を入れていないと凍結する」と思っているかもしれないが、これは嘘だ。一般ユーザーなら知らないかもしれないが、勘違いしている設備屋、水道屋もいっぱいいるから注意してほしい。
給湯器内部の凍結予防ヒーターは、外気温を検知して自動的に作動するようになっている。この時、給湯器に通電しているかどうかが重要なのであって、リモコンに電源が入っていようがいまいが関係ない。
給湯器内部で凍結してしまう場合は、ブレーカーなどが作動していて給湯器に通電していない(コンセントを抜いたのと同じ状態)か、ヒーターそのものが故障しているケースであり、この場合はリモコンの電源が入っていても凍ってしまう。
「本当は節電なんかを気にして電源を切りたかったけど、凍結が怖くて電源を入れっぱなしにして使用してた」というユーザーは、電源を切っても問題ないから安心してくれ。
最後に
計算したことはないが、ガス給湯器やガンタイプバーナー採用の給湯器の待機電力なんて微々たるもんだと思っている。筆者も数日間家を空けるとか、日中は誰も家にいない等の事情がなければ、基本的には給湯器の電源は入れっぱなしだ。
「就寝時は電源を切る」と言う気持ちは理解できるが、少なくとも凍結予防を心配してリモコンの電源をずっと入れておく必要はないし、仮に電源を入れっぱなしだとしても待機電力以外のデメリットは特に無いぞ。ぜひ、参考にしてくれ。