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給湯器のリセットは危険?メーカーがリセット方法を公開しない理由

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給湯器のリセットは危険?メーカーがリセット方法を公開しない理由

すずき設備社長の鈴木だ。

細々とやっている弊社のブログにも、毎日給湯器やガスコンロに関する情報を求めて読者が訪問してくれているのだから本当にありがたい。ちなみにブログを運営していると「どんな検索キーワードで訪問したか」などの情報が見られるのだが、少し気になることがあった。

実は当ブログには「給湯器 リセット」とか「給湯器 リセット方法」というキーワードで当ブログに訪問する人が結構いるようなのだが、基本的に給湯器をリセットするという概念はない。

恐らく「コンセントリセット」のことを指しているんだろうと思うが、正しい知識のないまま無闇に給湯器のリセットを行うことはおすすめしない。以下ではその理由と根拠について書いていこうと思う。

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給湯器のリセット方法「コンセントリセット」とは?

給湯器にはエラーが出てしまった時のリセット方法が二つほど存在する(リセットと呼ぶほどのものでもないが)。一つはリモコンの電源を切ること、そしてもう一つが給湯器への電源供給を遮断することだ。

大半のエラーは給湯器リモコン(操作モニター)の電源を入り切りすれば復旧するようになっているのだが、ごくまれに「リモコンの電源の入り切りで消えないエラー」が存在する。しかし給湯器本体のコンセントプラグを抜き差しすれば、そのエラーを消せることがあるのだ。

もちろんコンセントリセットが有効なこともあるが、多くの場合で逆効果であることが多く、場合によっては更なる故障に影響しているケースも少なくない。

鈴木社長
鈴木社長

何かしらの原因があってエラーを出しているわけだから、それを無視して動かそうとすることは逆効果になることが多いぞ。

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コンセントリセットが有効な場面

原因がはっきりしているならリセットしてOK

コンセントリセットが有効な場面としては一時的に給湯器が動作できなかった場合、かつ原因が一時的なものだとハッキリしているケースだ。例えば「地震などによってガスメーターでガスが遮断されていて、それに気付かず給湯器を使用してしまった」などの場合である。

この場合、給湯器を動かそうと思ってもガスが来ていないんだから、当然点火することはできない。ガス給湯器は何度か点火動作に入るが、何度やってもダメな場合はエラーを出して停止する。

この場合のエラーは「E11、E111」というエラーになるだろうが、この段階では給湯器リモコンの電源入り切りで復旧するだろう。ただし何度もやってしまうと、リモコンの電源入り切りでは復旧しなくなってしまうのだ。

ガス給湯器の点火不良(E111)|原因と対策

リモコン電源でエラーが消えない→コンセントプラグを抜くしかない

本来なら何度もリトライせずに「E111って何だろう?」ということで、エラー番号を調べる。そこで最初の点火が上手くいかないエラーだと気づき、同時にガスコンロも動かないとなれば、多くのユーザーはガスメーターを見に行くのではないだろうか。

それに気付かず何回も給湯器を動作させてしまことで、給湯器は何度もエラーを出してしまう。その結果、エラー番号がロックされてしまうというわけだ。こうなってしまうと、もうコンセントプラグを抜くしかない。

ここでコンセントリセットを行い、エラーがロックされた状態を解除するという使用方法なら問題ない。でなければ原因が解決した給湯器の点検修理に業者を呼ばなければならず、出張診断料を取られてしまうからな。

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コンセントリセットがダメな理由

メーカーでは給湯器のリセット方法を案内していない

筆者が某メーカーに勤めていた頃は、エラーが出て困っているというユーザーに対してコンセントリセットは案内しないという方針だった。今はどうかは分からないが、少なくとも取扱説明書には記載されていないし、コンセントを抜くような案内をしているのはあくまで雷が鳴っている時だけである。

筆者自身は自分で対応してしまうため、現在コンタクトセンターでどんな案内をしているのかを断言することは出来ないのだが、少なくとも給湯器にはコンセントリセットしてはいけない場面がある。

それを現場を見てもいないコンタクトセンターの人間に判断できるとは思えないから、無闇にコンセントリセットを勧めるということはないんじゃないかと思うぞ。

コンセントリセットがダメなケース

ここで、コンセントリセットをすることで被害が拡大してしまうケースについて説明しておこう。いくつか考えられるが、代表的なものは以下の二点だ。

  • 燃焼不具合によって引き起こされるエラー
  • 安全装置類のエラー

燃焼不具合によって引き起こされるエラーの例

例えばファンモーターの出力が弱まっていて、給湯器の燃焼に必要なだけの空気が確保できていないという症状の場合、恐らくちょっと燃えてからE120やE121というエラーを出して止まることになると思うが、これを何度も何度もコンセントリセットをして動かしてみるとどうだろう。

無理な状態で何度も動作させることによって不完全燃焼の回数と時間だけが増え、結果的に「あれもこれも交換が必要だ」という被害拡大に繋がりかねない。

上の方で紹介したような「燃料供給が停止していただけのパターン」なら、何度も点火動作に入ったとしてもそこまでの影響はないが、給湯器が「このままだと良くない」ということを察してエラーを出しているのに、ユーザーがそれを無視してしまっているようでは意味がないだろう。

安全装置類のエラー

基本的に安全装置類に問題があれば、コンセントリセットでは復帰しない。温度ヒューズやオイルセンサーなどは、作動してしまえばもう部品交換するまでエラーが出っぱなしだ。

ただし、一部の安全装置には例外がある。例えば熱交換器の詰まりに反応するハイリミットが作動した場合、これを強制的に解除してリトライするということは「詰まりがあってわざわざ止まったものを動かす」ということになってしまう。

このようにちゃんと理由があってエラー制御している場合に、それをユーザーの方で解除してしまうのは得策とは言えないのではないだろうか。もちろん仕組みを理解して使用する分には全く問題ないのだが、ネット上には様々な情報が蔓延している。

どのサイトも正しい情報ばかりを教えてくれるとは限らない。それは当ブログも同じであるが、少なくとも「給湯器 リセット方法」と調べているような状況であれば悪いケースの可能性もあるから、出来ることなら然るべき相手に相談してほしいと思う。

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最後に

コンセントリセットを繰り返したせいで修理費用が大きくなってしまったという現場を何件も見たことがあるから、給湯器を無闇にリセットすることはあまりおすすめしない。

エラーの理由、状況がハッキリしていて「このエラーを解除すれば普通に使えるようになる」という確信があればやっても問題ないだろうが、とりあえずやってみようというノリであればリセットしない方が無難だぞ。ぜひ、参考にしてくれ。

「給湯器の修理はどこに依頼すればいい?」の答え