すずき設備社長の鈴木だ。
ガス給湯器を使っていて「ブーン」という異音に悩んでいるユーザーは少なくない。ボリュームにも大小あるし、ブーンなのかブイーンなのかはユーザーの感じ方次第だろうが、このようなニュアンスの音を発生させる部品は限られている。
以下では「ガス給湯器がブーンという異音を立てる原因と対処法とは?」というテーマで話を進めていこう。
基本的には石油給湯器ユーザーにとっても似たような話になるから参考にしてくれ。
ガス給湯器がブーンという異音を立てる原因
ファンモーターによる異音
ガス給湯器の内部には、給気を取り込んで排気を送り出すためのファンモーターという部品が搭載されている。形状はハムスターがクルクル回転させる玩具に似ていて、回転することで風を発生させる扇風機のような役割を持った部品だ。
このファンモーターに何かしらの不具合がある場合に「ブーン」とか「ブイーン」という唸るような音を立てることが多い。音が発生するタイミングは、主に「蛇口を開けてからずっと」だ。蛇口を閉じてからも1分くらいは鳴り続けるだろう。
- 電装基盤不具合によるファンモーターの誤作動
- ファンモーターの経年劣化による故障
- ファンモーターに異物混入
- 排気閉塞
ファンモーターが異音を出す場合は、上記の4つが主に原因となることが多い。
電装基盤不具合によるファンモーターの誤作動
まずは基盤が悪くなっていて、ファンモーターに対して正常な命令を与えられていない場合。基盤からの命令を正常に受け取ることが出来ない状態だ。
ファンモーターや基盤にはそれぞれエラー番号が設けられているが、完全に壊れていない場合はエラーを出さないことも珍しくない。「壊れかかっていながらも何とか動作している」という状況で、故障の前兆が「ブーンという異音」になって表れている可能性がある。
ファンモーターの経年劣化による故障
ファンモーターが経年劣化していてパワーが落ちているという場合も、ブーンという重低音を出すことが多い。というかこのケースが一番多いかもしれない。
使用から7年以上が経過していると徐々に見られるようになってくる症状で、特に「風の強い日にその症状が出やすい」とかだと、この可能性が一気に高まる。
外で風が強いと送風機に負荷が掛かるため、普段よりも回転のパワーを必要とする。だから風が強い日だけそうなるという場合は、ファンモーターの不具合が怪しいというわけだ。
ファンモーターに異物混入
あとはファンモーターへの異物混入によって、ファンモーターに対して異常な負荷が掛かっている場合に多い。
ガス給湯器の排気筒は外から見ると郵便マークのようなT字型になっていて、異物が入っていきにくいような構造にはなっているのだが、小さい鳥やコウモリなんかが入り込むケースは少なくないし、虫や落ち葉などはいくらでも入ってしまう可能性がある。
ちなみにファンモーターの中に異物が入り込んでしまっている場合はユーザーの方でこれを確認・除去することは難しいが、煙突が潰れたりしていないかどうかは確認してみて欲しい。
集合住宅で街灯と同じくらいの高さに排気筒があるという現場の場合、虫が入ってきやすいから注意が必要だ。
ポンプによる異音
ブーンという唸るような音は、循環ポンプが発生源であるケースも少なくない。どちらも「何かが回転している感じで、重低音であることが多い」のだが、特にポンプの場合は振動音に近いことが多いような気がする。
音が鳴るタイミングはポンプが動く時のため、風呂を沸かすときとか暖房を付けた時にだけ音がするというのであれば、ポンプが原因の可能性が一気に高まるだろう。
- 電装基盤不具合によるポンプの誤作動
- ポンプの経年劣化による故障
- ポンプにゴミ詰まり
ポンプが異音を出す場合は上記の3つが主に原因となることが多い。基盤やポンプそのものに原因があるケースは、上で説明したファンモーターと一緒だ。あとはポンプにゴミが詰まっているケースも多い。特にふろ循環ポンプにおいて「浴槽内の循環フィルターをまったく掃除していない」という家ではこの可能性が非常に高い。
ヘドロのようなものが詰まっていて、動作音が著しく高くなっているという状況だ。ちなみにこの場合は、早期発見なら掃除で直ることもあるが、ポンプに負担が掛かった時間が長ければ長いほど掃除をしてもすぐに壊れてしまうケースが多いため修理の判断が難しい。
「ブーン」という異音に対してユーザーが出来ること
まずチェックして欲しいのが「煙突が変形していないかどうかの確認」だ。変形していなかったとしても、洗濯物が引っかかっていたりすればファンモーターの動作音は大きくなるから、まずは「煙突の出口に何か障害物がないかどうか」を確認して欲しい。
あとは「給気フィルターのチェック」も重要だ。給湯器の種類によっては、給湯器本体の正面にフィルターが装着されている。もしこのタイプを使っているのであれば、給気フィルターにわたごみ等が付着していないかどうかを確認し、必要に応じてブラシなどで掃除してみて欲しい。
この2点に問題が無く、更に外で強風が吹いているということもないのであれば、あとは部品に起きている不具合を取り除いてやらなければならないから、速やかに修理業者を手配して欲しい。
その時は、単に「給湯器からブーンという音がする」と伝えてもいいのだが、できれば「お湯を使った時なのか、お風呂を沸かした時なのか」などの状況も伝えておくと、修理自体がスムーズに進む可能性がグッと高まるぞ。
「ブーン」という異音がするときに絶対にやってはいけないこと
ブーンという異音が発生している時は、絶対に「騙し騙し使用する」ということは避けることをおすすめしたい。その理由として「もし排気閉塞が起こっている時に騙し騙し使用してしまうと、その他の部品にまで被害が広がってしまう可能性があるから」だ。
例えばエラーが表示されておらず、ブーンという異音がする場合は「まだエラーが出るほどの内容ではないが、明らかに給湯器本体には異常が発生している状態」と言える。
この異常が「排気閉塞による不完全燃焼」などの場合、使えば使うほど熱交換器が詰まってしまうし、バーナーにも負担が掛かってしまうだろう。本来なら異音の原因となっている部品を交換するだけで済むはずの修理が、あれもこれも交換しなきゃならないとなってしまいかねない。
「エラーが出ていないんだし、ちょっとだけ…」と思うかもしれないが、二次被害を食い止めたいのなら異音を出したままの状態で使用することは控えた方が無難だ。
どんなに大きい音が出ていたとしても、その状態で使用して爆発したりするということは、万に一つもないだろう。危険な状態になったらすぐにエラーを出して停止するように作られているから、その点は安心してもいい。
最後に
ブーンという音は経年劣化でも散見される症状の1つだ。もし使用年数が7年以上経っているのであれば、修理だけじゃなく買い替えの道も検討することをおすすめしたい。
異音がするという不具合は、いかに早期発見して修理できるかが重要だ。業者を手配する時はどんな音なのか、どんなタイミングで鳴るのかを含め、細かい情報を知らせることで即日修理が可能になるかもしれないぞ。ぜひ、参考にしてくれ。