すずき設備社長の鈴木だ。
入浴剤を使用しているというユーザーは非常に多いだろうが、中には入浴剤が原因で給湯器が壊れてしまったという経験を持つ人もいるだろう。
結論から言うと、イオウ成分が含まれていないのであればそこまで神経質になるような必要もないだろうが、やはり入浴剤は使わないに越したことはない。
しかし、疲れの取れ方や温まり具合も違うし、何より気の持ちようが変わってくる。ならば、使わないのではなく、うまく付き合っていくしかないだろう。
そこで今回は、意外と知られていない「入浴剤の脅威と入浴剤との上手な付き合い方」について説明していく。
入浴剤の使用は給湯器に問題ないのか
こんなことは言いたくないのだが、入浴剤が給湯器本体に影響がないわけがない。各メーカーでも「使わないでくれ」とは言っていないのだが、これは各入浴剤メーカーに対する忖度という考え方もできる。
筆者もかつて某給湯器メーカーの営業をしていたことがあるが、当時はもし入浴剤が原因で給湯器が壊れたとしても「入浴剤が原因で壊れたとは断言しないでくれ」と言われていた。
どうしても入浴剤について言及せざるを得ないのであれば、すごく柔らかく「もしかすると入浴剤の影響があったかもしれない」というニュアンスで説明しろと言われていたな。
ハッキリ言って、入浴剤が給湯器に対して影響を与えないわけがない。
詳細データは公表されていないが、まったく入浴剤を使用しない家と、毎日入浴剤を使用している家庭とで、機器寿命は大きく変わってくると思っている。
理由としては、入浴剤を使用することで発生しやすい不具合というものがあり、それは入浴剤を使用していなければ見舞われる可能性が極めて低い内容だからだ。
入浴剤の何が問題なのか
熱交換器は洗えない
「入浴剤を使用したお湯は、最後の人が入り終わったらその日のうちにすぐ捨ててしまう」という場合は想像できないかもしれないが、そういう人は1日放置してみるとこの意味が分かるはずだ。
入浴剤には色々な種類があるが、大抵はぬめりなどが付きやすくなるし、入浴剤の種類によっては、水を抜いた後のバスタブが滑りやすくなるようなものもある。
バスタブなら実際に目で汚れが確認できるし、ブラシで擦って汚れを落とすことも簡単だろう。洗剤なんかも簡単に使用できるしな。
しかしこれと同じことが給湯器内でも起こっているのだ。給湯器内部の配管や部品内部はブラシじゃ洗えないから、汚れを落とすのは難しいということになる。
それが蓄積されていくと、給湯器内部の部品やパイプ類にこびりついて、思わぬ不具合を引き起こす引き金にもなりかねない。
銅と化学反応をするのはイオウだけじゃない
市販されている入浴剤には、必ずと言っていいほど「イオウは使っていない」と書かれている。ハッキリ言って、イオウなんか使ったら一発でアウトだ。
イオウ成分が含まれているお湯を追い炊きした場合、熱交換器に穴が開いてしまうことが予想される。イオウ濃度にもよるだろうが、温泉地で使用されている給湯器なんかだと新品から3ヶ月以内には噴水の如く水が湧き出てきたことも珍しくない。
これは給湯器の内部に銅が使われていて、銅と硫黄と熱が反応することで銅は腐食してしまうからである。
じゃあイオウ以外は大丈夫なのかという話になるのだが、そんなわけがない。給湯器の熱交換器部分は銅、あるいはステンでできている。ガス給湯器ならほとんど銅だな。
銅と化学反応を起こすのがイオウだけかどうかって話なんだが、塩化銅という物質が存在するように、バスソルトとの化学反応も決して無視はできない。
腐った色をした10円玉なんかが、すべてイオウによるものかと聞かれたら絶対に違うということもわかる。人間の皮脂や水道水に含まれるミネラル分でも影響を受ける可能性があるだろうし、不純物は少ないに越したことはないだろう。
乳白色の入浴剤も危険
仮に塩などを使っていない入浴剤だったとしても、乳白色などの温泉系のにごり湯なんかは危険だ。何が危険かと言うと「給湯器の内部で沈殿する可能性がある」ということだ。
難しい話になるため簡潔に書くが、給湯器のふろ水通路部は内部で蛇腹のようになっている。ここに入浴剤の成分が沈殿してしまうと、熱効率が落ちてしまって上手くない。
あとはポンプの中に沈殿してしまうことで、循環させるパワーが弱まることも考えられるし、サーミスタという温度測定をしている部品に付着したら、設定温度通りにお湯が沸かないことも考えられる。
乳白色の入浴剤にも「イオウは使用されていない」と書かれているはずだが、給湯器を傷めてしまう(正常に動作しなくなる)可能性は十二分にあるから注意した方がいいだろう。
入浴剤を安心して使用するには?
- 比較的、影響の少ない入浴剤を選ぶ
- 追い炊きをしない
- 追い炊きしても、その日のうちに配管クリーン機能を使用する
- イオウを含んだ入浴剤は厳禁
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給湯器に影響の少ない入浴剤とは?
給湯器に影響の少ない入浴剤は「イオウを含まないもの、乳白色(にごりタイプ)でないもの、泡タイプでないもの」等を指す。
厳密に言えばバスソルトもあまり好ましくはないが、バスソルトを溶かしたお湯がしょっぱいと感じない程度ということもあり、そこまで神経質になる必要はないのではないかと思う。
もちろん給湯器内に長時間に渡ってバスソルト成分が残ることは好ましくない。これを防ぐには追い炊きを我慢したり、定期的に配管洗浄などをしていけば問題ないだろう。
追い炊きしなければOK
基本的に追い炊きしなければ給湯器内に入浴剤成分が入り込んでしまうことは考えにくいため、追い炊きしないのであれば入浴剤は自由に使用して問題ない。
ただし「家族が多い」「長時間の入浴を楽しみたい」というユーザーにとって、追い炊き出来ないというのはかなり致命的なデメリットとも言えるだろう。
そういう場合は配管クリーン機能を使うといい。すべての給湯器に搭載されているわけではないが、お湯張り出来る給湯器の多くに搭載されている機能で「給湯器からバスタブに向かってお湯を出し、配管を洗浄する」という機能だ。
これをすれば給湯器内や配管内に入浴剤成分が残ることも防げるし、入浴剤の影響を限りなく小さいものにすることが出来るだろう。
定期的な配管洗浄がおすすめ
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もし配管クリーン機能がない給湯器を使用しているという場合は、定期的な配管洗浄もおすすめだ。もちろんこれは配管クリーン機能があるというユーザーにもおすすめしている。
ホームセンターに行けば市販の配管洗浄剤があるから、それを買ってきて使うだけでも十分に効果が期待できるぞ。洗浄剤は安価だし、使用方法も「残り湯に溶かして追い炊きするだけ」とか簡単だから、ぜひ定期的に使ってみて欲しい。
または年に1度か2度でいいから、プロに配管洗浄をしてもらうというのもおすすめだ。
上記は「おそうじ本舗」の配管クリーニングサービスで、料金は1回あたり23000円と決して安くないが、専用の機材と洗浄剤を使って丁寧にクリーニングしてくれるぞ。
毎日何かしらの入浴剤を使用しているという場合、皮脂汚れと入浴剤成分の組み合わせによって、給湯器の配管クリーン機能では間に合わない可能性がある。
毎日、キレイなお風呂に入るためにも、追い炊き配管内の雑菌が気になっているユーザーはぜひチェックしてみてくれ。
最後に
入浴剤を使った場合は「追い炊きしない」という方法で、そのリスクを回避できる。そして配管のメンテナンスをちゃんとやっていれば、そこまで心配する必要もないだろう。
あとはホームセンターなんかに行けば、電子レンジで温める湯たんぽのようなもので、風呂のお湯を保温できる便利グッズなんかも売られているから、それを使ってみてはどうだろうか。ぜひ、参考にしてくれ。