すずき設備社長の鈴木だ。
よく「石油給湯器のメーカーはどこがおすすめ?」と聞かれることがある。多くの設備屋は自分が贔屓にしているメーカーをここぞとばかりに推すだろう。
その場合の大半の理由が「安く本体が仕入れられるメーカー=自分が儲けられるメーカー」であることが多いのだが、給湯器のメーカーの違いなんてそんなものだ。
ちなみに弊社では「石油給湯器ならこのメーカーがおすすめ!」と言えるほど付き合いの濃いメーカーは無く、ハッキリ言って何処でも大差ないという考えだ。
以下では「シェア率や機能面から考える石油給湯器のおすすめメーカー」について解説するので、ぜひ参考にしてほしい。
石油給湯器の製造メーカーの種類
- ノーリツ
- 長府製作所
- コロナ
石油給湯器の製造メーカーと言われれば上記の3つが有名だ。ちょっと前までならTOTO、YAMAHAなんてのもあったが、どれも今では生産・製造していない(ちなみにTOTOやYAMAHAの給湯器をメンテナンスする場合はノーリツが請け負っている)。
ここに名前の挙がっていないメーカーは怒ってしまうかもしれないが、現状は「ノーリツ、長府製作所、コロナ」の三つ巴と言っても過言ではない。ちなみに弊社の活動範囲内では長府製作所が極端に少ないのだが、全国的に見ると上記3つのメーカーがほぼ横並びのシェア率だと言われている。
紛らわしいのが長府製作所と長府工産だ。弊社の観測範囲には長府製作所のボイラーがほとんどなく、シェアはノーリツが6割、コロナが3割、他が1割という感じである。
何回か長府工産のボイラーを見たことがあるが、中身はままでノーリツだった。おそらくノーリツのボイラーを名前だけ変えて販売しているのであろう。
名前だけ変えて販売しているのをOEMと呼ぶが、車でよくある「同じ車種をメーカーによって名前を変えるアレ」と一緒だ。
石油給湯器のおすすめメーカーについて
製造メーカーはあまり関係ない
基本的にこの3社を比較するのであれば、どこが優れていてどこが劣っているという感じは無いというのが本音だ。ノーリツの給湯器が10年使えて、コロナの給湯器がそれよりも早く壊れてしまうというようなデータは何処にも無いし、性能差はメーカーによる違いよりも機種ごとの差の方が大きい。
もちろん事細かい粗を指摘するなら「〇〇というメーカーの△△という営業が気に食わない」などはあるが、どのメーカーにも厄介な奴はいる。弊社の観測範囲がそうだったからと言って、この記事を読んでいる読者にとってもそうだとは言い切れないだろう。
つまり「どこのメーカーを選んだからと言って金額的に高いということも無ければ、壊れやすいとか壊れにくいということはない」ということだ。メーカーよりも「そのメーカの中のこの機種」という感じで弱点は露呈していく。そして完全無欠なメーカーはなくて、そこにあるのは機種別の当たり外れだ。
Windowsでも「10はいいけどVISTAはダメ」みたいな判断基準があるだろう。VISTAで嫌な思いをした人はMacに移る人もいただろうが、基本的に「VISTAがダメ=Windowsがダメ」ということにはならないんじゃないかと思う。石油給湯器に関してもそんな感じだと思ってくれ。
複数機器を使用するならメーカーを統一するのは〇
ちなみに弊社では石油給湯器ならノーリツかコロナが主な取引先のため、この両者のカタログを持って行って買い替え説明をしている。どちらか決められないというユーザーに対しては「給湯器メーカーとしての知名度はノーリツの方が高い」と言えば、大抵はノーリツで成約していると言っても過言ではない。
ただし石油ストーブを併用しているという場合は、コロナのストーブを使用しているというユーザーも多いから、そういう場合はコロナで統一するのも十分にありだと思う。たまに「石油給湯器がノーリツで、石油ストーブがコロナ」という現場もあるが、特にこだわりがないのであれば、修理相談の窓口は1つに絞った方がいいかもしれない。
ストーブや給湯器は家を建てた時に同時に設置するから、故障時期も似たようになってくる。その時に同じメーカーだと修理の出張点検料で恩恵が受けられるかもしれないぞ。
サービスの良し悪しで決めるのは〇
もし以前に使っていた給湯器メーカーの対応が不満だったというなら、別メーカーに移るのはおすすめだ。ただし、色んなメーカーを相手にしている弊社の見解は「どこどこのメーカーというよりも、誰なのかが重要」だと思っている。
対応が悪いスタッフに当たったのであれば、それはメーカーなのではなく、その個人に問題があったんじゃないだろうか。筆者も初めてノーリツの営業担当者と喋った時、こいつは話にならんと思った。そして実際に現場に来たノーリツ専門の修理業者もとんでもない奴だった。
それ以来ノーリツを嫌いになりかけたのだが、次の現場を担当してくれた営業と修理業者が、非常によくやってくれる人間だったのだ。会社自体が腐っているという可能性も否定はしないが、多くの場合は「その担当者だけが悪い」ということが多い。
メーカーを変更した場合の弊害
今まで使っていた給湯器で特に不満が無いなら変える必要もないだろう。もしちょっとでも不満があるなら変えてもいい。ただ、多くの場合でその不満は改善されないとは思う。
接客などのサービスで嫌な思いをした場合、ハズレの担当者を引いたと思いながらも我慢できるボーダーと我慢できないボーダーがあるだろうから、不満点がある場合は変えてみるのも1つだ。
ちなみに給湯器の場合、多くのケースで「メーカーを変更すると〇〇の交換が必要になる」というケースはないから安心してもいい(一応、事前に確認すると良い)。
マンション設置のエコタイプ給湯器だと排水処理の面でメーカー変更が弊害になるケースがあるが、石油給湯器の場合はほとんど気にしなくていいぞ。
最後に
筆者からしたら「テレビのメーカーはどこがおすすめ?」って聞かれているのと一緒で、ソニーにはソニーの良さがあるし、東芝には東芝の良さがあると思っている。
もしソニーのテレビが早く壊れてしまったとしたら、それは恐らくソニーが悪いんじゃなくて、たまたまその商品が悪かった可能性が高い。そして、東芝を買っていたらその問題が回避できたとは到底思えない。
給湯器もメーカーで悩む必要はないと思うから、安売りしているからという理由でメーカーを変えても全く問題ないだろう。ぜひ参考にしてくれ。