すずき設備社長の鈴木だ。
給湯器は家の中に設置する屋内タイプと、家の外に設置する屋外タイプが存在する。マンション等で屋外にパイプスペースがあり、そこに給湯器が設置されている場合はこの限りではないが、一軒家で外に給湯器を設置する場合は、給湯器に囲いを付けたり雨よけを付けたがるユーザーが多い。
しかし基本的に雨よけは不要であるし、下手に雨よけを施工することで逆に良くないことが起きてしまう可能性がある。以下では「給湯器に雨よけは不要の理由」について解説するので、ぜひ参考にしてほしい。
屋外設置の給湯器に雨よけが不要な理由
給湯器は同じ型式でも屋外設置用や屋内設置用などで細分化されていて、実際には微妙に構造が違っている。屋内設置型なら当然煙突が必要だし、逆に屋外設置型なら煙突は不要だ。
それと同じような理由で、屋外設置の給湯器は雨風にさらされる前提の構造になっている。簡単に言えば「雨に当たっても壊れないような構造」という意味だ。屋内設置型の給湯器を外に設置するような場合は、雨が侵入して内部が故障してしまうリスクがあるが、屋外設置型の給湯器の場合はそのような心配は不要である。
劣化しないわけではないから絶対とは言い切れないが、これを気にし始めるならそもそも外に設置してはいけないというレベルで、要らぬ心配と言っていい。
給湯器に雨よけを付けない方がいい理由
ユーザーが望むような効果は大して得られない
前項でも軽く説明したが、雨よけを付けたからと言って給湯器の危機寿命が伸びるというデータは無いし、むしろ後述している理由から逆に寿命が短くなるケースの方が不安である。
雨よけを付けるユーザーに話を聞くと、大抵が「雨が当たらない方が長持ちしそう」というがそんなことはない。中には「腐食防止」というユーザーもいる。
腐食に関しては確かに雨よけの効果はあるのだが、それは10年以上使用する前提になっていて「外装部が腐食していても雨水が侵入しにくくなる」という効果は見込めるだろう。ただ、給湯器の寿命は約10年となっていて、そもそも外装部が腐食してきたようであれば新しい機械に交換してもらうのが理想だ。
設置するのに知識が必要
例えば雪国の場合、給湯器の上に付けた雨よけにつららが出来て排気口を塞いでしまうケースが考えられる。このような施工ミスは意外と少なくない。
屋外の給湯器(特に床置きタイプ)は囲いや小屋の中に設置したがるユーザーも多いのだが、施工方法を間違ってしまうと不完全燃焼の原因となり、設置後間もない給湯器でも燃焼不具合になってしまうことがある。
有識者がちゃんと設置する分には問題ないが、そうでもなければ止めておくのが無難だろう。それに有識者であればあるほど、雨よけに大して効果がないことも知っているから設置はしないような気もする。
業者の中にはユーザーの不安を先回りして、あえて囲いや雨よけを設置してくれるという優良業者もいるから、囲いを付けたり雨よけを付けてくれる業者が悪いという意味ではないぞ。
メンテナンスの際に邪魔になるケースが多い
これは修理する立場の人間の意見のため、ユーザーからすれば「そんなこと知るか」の一言で済んでしまうのだが、雨よけが付いていると修理の際に面倒になることが多い。
給湯器の修理は天候に左右されないケースがほとんどで、ちょっとの雨ならカッパを着たりブルーシートを被って修理することが可能である。しかし雨よけから滴る雨水が自分に跳ね返って機器内に入らないように考慮する必要が出てきたりして、なんとも修理しづらいことがあるのだ。
筆者の経験でも数える程度しかないレアケースではあるが、そういう修理しづらい現場において「本当は今日が修理日だったが、天候が悪いため明日以降に延期してほしい」という相談が無いわけではない。
雨よけがなければ最短で修理できたものが、雨よけのせいで当日修理ができないというケースがあるのも事実のため、どうしても雨よけを取り付ける場合はメンテナンスにまで気を配って設置するのが最良である(もちろんそこまで考えて施工されている場合は「雨よけのおかげで激しい悪天候でも修理可能」というケースも存在する)。
最後に
基本的に給湯器に雨よけは不要だ。そしてユーザーの希望以外でそれを付けてくれる業者には2パターン存在し、1つはユーザーが「雨よけがなくても大丈夫?」という不安を抱えていそうな場合に先回りで取り付けてあげる業者、もう1つは意味も分からず素人考えで取り付けている業者である。
どちらにしてもちゃんとした施工で取り付けられているなら問題ないが、基本的に雨よけがあったから長持ちしたという例はないし、外装がボロボロになるくらい年月が経っているなら買い替え時期を迎えているということだ。
そして外装部の劣化が気になるなら、ステン外装の給湯器を買えばある程度の外装部の劣化対策は可能だぞ。ぜひ、参考にしてくれ。