すずき設備社長の鈴木だ。
ガスコンロには数々の安全装置が取り付けられているが、そのうちの1つに「温度センサー」と呼ばれる物がある。一見すると安全装置なんかには見えず、素人目線で説明すると「鍋やフライパンを五徳に乗せた時に引っ込むやつ」という表現になるのではないかと思うが、こいつの不具合は非常に多い。
特に長年の吹きこぼし等による固着やガスコンロ内部での断線などにより、点火しようとするとエラーを出したりピー音が鳴って火が付かないという症状が起きるケースが多く、こうなってしまうと部品交換が必要だ。
以下では「ガスコンロの温度センサーが固着する故障の原因と対策」について解説するので、ぜひ参考にしてほしい。
ガスコンロの温度センサーが固着する故障の原因と対策
ガスコンロの温度センサーとは?
この出っ張っている棒のようなものが安全センサーだ。基本的にはグリル以外のバーナーには搭載されていることと思うが、機種によっては一部に搭載されていないケースもある。
役割としては温度検知等で、鍋やフライパンが異常に熱を持ったら消化するような構造になっており、鍋がちゃんと置かれていないという場合は点火しない。
料理の際の吹きこぼしなどでダメージを受けやすい
最近のガスコンロは吹きこぼしても内部の基板などに水やお湯が掛からないように、内部はある程度受け皿やシールドで守られているが、この温度センサーに関しては吹きこぼしなどのダメージを受けやすい。
単なるお湯ならまだしもラーメンのスープだったり、醤油などの調味料を使用している汁なんかを吹きこぼしてしまうと、それが悪さをするケースがある。
何が起こるかと言うと、通常なら鍋を乗せた時にスッと下がる温度センサーが負荷が掛かったような感じになり、症状が悪化すると「一度引っ込んだら鍋を取り上げてもそのままの状態(引っ込みっぱなし)」という症状になる。
このような状態になってしまうと接触不良などを併発することもあり、調理中に勝手に火が消えたりすることも考えられるから、なるべく早めの修理をおすすめしたい。
温度センサーの交換にかかる費用は?
温度センサーの部品そのものは3000円以下がほとんどなため、出張料と作業料を入れても10000円以内で済むことがほとんどだ。ただし注意してもらいたいのは、バーナーが3口あるタイプのガスコンロを使っているなら同様の部品が残り2箇所に搭載されているという点である。
温度センサーは基本的には1番よく利用するバーナー部分の物が劣化しやすい傾向にあるが、それが何度も吹きこぼしたものによる不具合ならいいとして、問題は「経年劣化」の場合だ。もし今回の不具合が経年劣化によるものだとすると、残りの2箇所で同様の修理が必要になってしまうケースも考えられる。
ビルトインコンロなら簡単に買い替えられないから修理に気持ちが傾くことが多いだろうが、テーブルコンロなら劣化状況に応じて本体ごと買い替えることを検討してもいいだろう。
実害がなければ交換しなくてもいい?
最初は「動きがぎこちない/上下がスムーズじゃない」程度であることが多いから、使っていて不便を感じないのであれば修理をしなくても問題ない。
ただしこれが徐々に悪化してくると部品自体の導通が取れなくなって、最終的には点火動作に入れなくなる可能性がある。火を付けようとしたらピー音が鳴って、エラーを出してしまうという感じだな。
大半はその箇所のバーナーだけで済むだろうが、中には全部のバーナーで火が付かなくなることも考えられるから注意しなくてはならない。その覚悟さえできるなら、修理を後回しにしても特に問題はないだろう。
ちなみに弊社が修理訪問している各家庭では「だいぶ前から調子が悪かったけど、やっぱり不便だから直そうかなと思った」というユーザーが多いから、みんながみんなすぐに修理しているというような内容の修理ではないと言っておく。
最後に
鍋やフライパンを五徳に乗せた時に引っ込むやつは、修理依頼をしようにも名前が分からなくて困るというユーザーも少なくないだろう。
これは温度センサーとか温度サーミスタ、鍋上げサーミスタと呼ばれる部品だが、修理依頼する時は別に部品名称を言わなくても「鍋やフライパンを五徳に乗せた時に引っ込むやつ」で問題ないぞ。ぜひ、参考にしてくれ。