すずき設備社長の鈴木だ。
給湯器には「エラーが出たけど電源の入り切りでお湯が出るようになる」とか「軽く水漏れしてるけど普通に動く」ということがある。しかし経年劣化や故障の前兆が起こっている場合、早急に修理をした方が修理費用が安くなるというケースが非常に多い。
その中でも特に注意したいのが「黒煙」だ。以下では「給湯器からの黒煙を発見したら早急に修理依頼をするべき理由」について紹介しよう。
なぜ給湯器から黒煙が出るのか
給湯器は部品の故障や経年劣化によって燃焼状態が悪化したり、給気・排気不良によって不完全燃焼が続くと、熱交換器に煤詰まりを引き起こしてしまう。
黒煙の多くは不完全燃焼や燃焼不良による煤詰まりを起こしている時に発生することが多い。主に黒煙が発生する原因となるケースを以下に示す。
- バーナーの燃焼能力低下
- 熱交換器詰まりによる不完全燃焼
- 給気不足、排気環境の不備
- 燃料系統、燃焼系統の不具合による燃焼不良
- 燃料劣化(灯油劣化等の場合は「白煙」になることが多い)
特に給湯器本体に直接的な原因がなく、設置場所や燃料に問題がある場合は注意しなければならない。
もしプロに診断してもらうでもなく「年数も年数だし、修理しないで買い替えよう」という判断をしても、設置場所や燃料に問題があるなら新品の給湯器でもまた同じことになるのが予想されるからだ。
黒煙を発見したら早急に修理をした方がいい理由
給湯器の修理費用が高くなってしまう恐れがある
単に給気不足による黒煙が原因の場合、給気不足の原因を取り除いたうえで煤が詰まってしまった熱交換器の交換をして修理完了という可能性もあるが、騙し騙し使用する期間が長ければ「バーナーも交換しなければならない」という感じで、最終的な修理費用が高くなってしまう可能性がある。
自転車の車輪がパンクしてしまった時にすぐにパンクを直せばそれだけで済むのに対し、パンク状態で乗り続ける時間が長ければ長いほど「ホイールごと交換しなければならない」となってしまうのに近い。
ただでさえ黒煙の原因になりやすい熱交換器は部品交換の費用が高く、例え掃除で煤を除去したとしても「煤詰まりを起こした熱交換器は再発リスクが高くなる」ため、またすぐ詰まってしまうリスクを考えたら部品交換した方がいいケースが多いだろう。
初期症状で修理することができれば部品交換せずとも掃除で改善できるかもしれないし、例え部品交換になっても最低限で済む可能性が残るぞ。
黒煙によって外壁を黒くしてしまうリスクがある
給湯器から出される排気は、単純に上へ上へと昇るわけでなく、風向きに左右されるケースがほとんどだ。そのため設置状況によっては排気が自分の家の壁に当たって上に行くことだってあるし、下手すると隣の家の壁に当たってしまうこともある。
特に真っ白な外壁の場合、黒煙が一定時間当たることで変色すると非常に目立つため、ご近所トラブルに発展するケースも少なくない。「裁判をチラつかされてトラブルになった」なんてことも聞いたことがあるから、なるべく定期的に給湯器の排気状況は確認しておこう。そして黒煙が確認された場合は、直ちに修理依頼をしてほしい。
黒煙が出た場合の修理費用
どこまで被害が及んでいるかによって大きく変わってくるが、本当に初期の状態であれば「熱交換器の掃除+黒煙が発生してしまった原因の除去」で済む。一方であまりにも酷い状況にまで進んでしまうと、もはや新しい給湯器に変えた方がいいのではないかというくらいの修理費用になってしまうケースもあるだろう。
それに上の方でも軽く触れたが、ご近所トラブルに発展してしまった時に、弁償する・しないの話に繋がるリスクもあるため、単純な修理費用で済まないケースがあるということも理解しておくべきだ。
ちなみに熱交換器は修理費用が高く、これを交換するだけでも30000円以上の修理費用が発生してしまうため、出来ることなら黒煙の予防に努めてほしい(掃除で済む場合なら、交換の半額以下になることも)。
黒煙を予防するには?
黒煙を予防するには普段から給湯器の外観、排気口周辺を目視にて点検することが有効だ。これを言うと「素人が見て分かるものなのか?」と言う人がいるが安心して欲しい。
黒い煙がモクモク立ち上がっている状況なら誰もがすぐに気付けるはずだ。問題なのは「黒煙を出しているのに家では正常にお湯が使えるケース」であり、最も注意すべきは「黒煙を出しながらも家の中ではその以上に気付けないまま使用時間を重ねてしまうこと」である。
多くの家では「自分の家のリビングからは確認できないが、隣の家のリビングからは見える」という位置に給湯器が設置されていることが多いため、自分の家の給湯器から黒煙が出ていても気付きにくい。
よほど近所付き合いが円満であれば、お隣さんがすぐに教えてくれる可能性もあるだろうが、そうでもなければ割と取り返しが付かなくなってからクレーム込みで教えてくれることも予想される。そうならないように自分自身で普段から点検するのが望ましい。
最後に
「排気が灯油臭い(あるいはガス臭い)から点検してほしい」という修理依頼は少なくない。しかしどのくらいの基準で排気が臭いと感じるかは個人差が多く、故障の前兆に気付いたという人もいれば「ただの経年劣化でニオイは気のせい」という人もいる。
このあたりの判断をユーザー自身で完ぺきにこなすのは難しいと思うが、気になったら修理依頼するという姿勢は大きなトラブルに発展しないための有効策だ。何事もなければ点検診断料は払わなければならないが、それで安心を買ったと思えば決して高くないと思うぞ。ぜひ、参考にしてくれ。