すずき設備社長の鈴木だ。
冬になると「パネルヒーターが温まらない」という依頼が多くなる。例えば「上半分が温まらない」というケースもあるのだが、これはパネルヒーターの仕様上である可能性も否定できない。
ただし部屋がまったく温まらないのであれば、何かしらの不具合を疑った方がいい。そもそもではあるが、実は「暖房ボイラーの故障ではなく、施工の仕方や機種の選定がおかしい」というケースがある。
以下では「2階の特定のパネルヒーターが温まらない場合は施工不良の可能性がある」ということについて解説するので、ぜひ参考にしてほしい。
2階の特定のパネルヒーターが温まらない原因
パネルヒーターの仕組み
パネルヒーターの暖房器具としての仕組みは極めてシンプルで、熱源機で温められた不凍液がパネルヒーターに流れ込んで、その周辺の空気が温められるというものである。つまりパネルヒーターが温まらないということは、パネルヒーターに温められた不凍液が流れ込んでいないということになる。
なぜ、このようなことが起こるのか。分かりやすい部分で言ったら、パネルヒーターに不凍液が入り込むためのバルブが閉まっているという場合だ。見かけ上はバルブが開いていても内部で弁が固着していて開いていないとか、不凍液の塊が詰まっていて妨げられているなどの可能性も考えられるだろう。
つまり「特定のパネルが温まらない＝不凍液が流れ込まない原因を取り除く」ということが重要ということになる。
パネル全体ではなく、一部が冷たいという場合
2階のパネルヒーターによく見られる症状として「空気が溜まっていて、その部分に不凍液が流れ込まずにパネルが温まらない」というケースが非常に多い。
暖房配管内に多少の空気が入ってしまうのは仕方ないことだが、配管状況によっては空気が集まりやすい特定のパネルというものが存在するため、その特定のパネルは温まらないという可能性もあるだろう。
空気は上に上に行くから、少しでも高い位置にあるパネルに空気は溜まりやすい。1階よりは2階の方が、そのリスクは高まることが多いと言える。
特に縦型のパネルは上部に空気が溜まることが多いから「2階の縦型の特定のパネルで、てっぺん付近だけが温まらない」という場合は、ほぼ空気が溜まっているだけと考えていいだろう。
パネルヒーターの上下半分、左右半分が冷たい、温まらない時の原因
パネルヒーター全体が温まらないという場合
例えば前項で触れた空気が溜まっているのが原因の場合、1つのパネルが全部空気で満たされるということは考えにくい。つまり空気が原因の場合はパネルも一部が温まらないというだけで、触れると熱い部分もあるということだ。
一方で、全く温まらないという場合に疑うべきなのは「不凍液の流量不足」である。熱源の暖房ボイラーが持つポンプは多くの場合で小型であるため、家にあるパネルヒーターが多ければ多いほど、熱源機から遠い位置にあるパネルには不凍液が一切流れない可能性もある。
2階の特定のパネルヒーターが温まらない場合の対策
パネルに溜まった空気を抜く
パネルヒーターの中でも「上部だけが温まらない」など部分的に温まらないという場合は、パネル内の空気を抜くことで改善することがある。
ただし空気を抜くには専用工具が必要になることがあるし、空気を抜き終わった後は不凍液の補充も必要になるから、出来ることなら専門家に依頼した方がいいだろう。
パネルヒーターの種類によってはマイナスドライバーを使って空気抜き穴からエア抜きできる物もあるから、どうしても自分で挑戦したい場合は不凍液漏れに気を付けてほしい。
流量不足が疑われる場合
特定のパネルがまったく温まらないという場合は、その部分のバルブが故障しているか不凍液が流れ込んでこない可能性が高い。もしバルブの根本を触っても熱を感じないという場合は、そもそもポンプの循環能力が足りていない可能性がある。
それが疑わしい場合は、2階にある温まらないパネルを除いたすべてのパネルを閉じて、そこだけを一点集中して動かしてみるというのが有効だ。これで温まるようであれば、流量が足りていない(つまり施工不良)可能性が出てくる。
そうなった場合は使わなくていい所は流量を絞るとか、完全に閉じるなどの工夫をするべきだろう。もちろん流量を増やすために、別売りのポンプを増設するというのも有効だ。
最後に
意外と「最初からそうだったのに遅れて気付いて不具合だと感じてしまう」というケースは少なくない。
実際に暖房ボイラー1台で一軒家全館を賄っているという場合、パネルが十数台も設置されていて全てのパネルを全開にしていれば、2階の遠くに設置されているパネルや縦型のパネルには流れ込まない可能性も高い。
どうしても温めたい部屋を優先にしたい場合は、他のパネルを閉じることで優先度を変えられるからそれで微調整するのも1つだ。ぜひ、参考にしてくれ。