すずき設備社長の鈴木だ。
浴槽の隣に付いているバランス釜。一般家庭でバランス釜・風呂釜を使っている家はだいぶ減ってきたが、集合住宅なんかだとまだまだ使用しているユーザーは多い。なんて言ったって安くて丈夫なのが大きなメリットだ。
構造がシンプルがゆえに耐用年数は長いし、使用法さえしっかり守っていれば簡単に故障したりしない。一方で「ちょっとしたユーザーのミスで壊れやすい」というデメリットも持っている。
以下では「バランス釜が水没することで安全装置が作動する事例」について解説するので、ぜひ参考にしてほしい。
バランス釜・風呂釜の冠水防止装置
バランス釜の水位検知は繊細である
バランス釜の機器内最下部には浮きのような部品が付いており、これが作動してしまうと手動で安全装置を解除しない限りは復帰しない。これがなかなか厄介で、取り付ける時にちょっと傾けてしまっただけでも作動してしまうほど繊細な部品となっている。
役割としてはバランス釜が水没してしまった時に、燃焼できなければガスが充満して危険になってしまうため、それを防止するために一切動作しなくなるというものだ。
排水不良などですぐに作動する
これの何が厄介かと言うと、本当に水没しているような状況で動作するのであれば問題ないのだが、ちょっとした排水不良などでも簡単に作動するのが問題なのである。
例えば排水口に髪の毛が詰まったりすると流れが悪くなることがあるが、バランス釜が設置されている多くの現場では浴槽の水を抜いた際もバスルーム全体に水が広がる。
この時ちょっと排水の流れが悪いだけでバスルーム全体の床に水があふれ、もし浴室内に立っていたら、くるぶし辺りまで水が溜まることも珍しくない。バランス釜の水位検知装置は、それくらいの位置に装備されているから注意してほしい。
水位検知が作動した場合の対処法
できればメーカーを呼んで解除してもらうのが賢明だが、間違いなく水位検知が作動したと断言できるような状況なら自分で解除するのもありだろう。やり方は正面のビスを外してフロントカバーを外す。そして、フロントカバーの最下部に浮きのような部品が付いているから、これを手で解除して下げるだけだ。
これは部品をよく見てもらったら分かると思うが、一度上に上がると引っ掛かって下には落ちなくなるような仕掛けが施されているから、これを解除して浮きを下に落としてやればいい。ちなみにフロントカバーを外す際、もしかするとガス管を外さなくてはならない状況も考えられる。その場合は大人しく業者に依頼することをおすすめしたい。
ガス通路部を外すとガス漏れに繋がる危険性があるため、有資格者でなければ扱うことができないから注意してくれ。ガス通路部を外すことは事故に繋がるから、この場合はプロに依頼するようにしてほしい。
水位検知を誤作動させない為の対策
排水口は常に掃除し、排水がスムーズに流れるようにしておくのが理想だ。あとは浴室の床面積の広さや排水管の大きさなどにもよるが、浴槽の水を一気に排水するのではなく、半分や3分割にするといいだろう。
少し手間かもしれないが、ユーザー側に非が無かったとしても排水の流れが少し悪かっただけで作動するから注意してくれ。そのような兆候があった場合は、面倒かもしれないが排水の流れが悪くないかどうかを見張った方がいい。自分の時間を少し無駄にしても、数千円の出張料と点検料を払うよりはいいはずだ。
髪の毛なんかの詰まりが少しあるだけでも排水の流れが悪くなり、冠水安全装置が作動しかねない。以下のようなゴミ受けを使用するとワンタッチでゴミが取り除けるから、設置しておいて損はないぞ。
最後に
バランス釜は非常に丈夫な作りで、滅多に故障しない。新しいバランス釜が修理になる場合の多くは安全装置か電池切れだ。古い機械になってようやくノズル詰まりや安全装置の故障が出てくるかなという程度である。
エラーが出たら電池を一旦抜けば解除されるが、安全装置が原因ならまた電池を入れた瞬間にエラーが出るから、この場合は直ちにメーカーに依頼することをおすすめする。ぜひ、参考にしてくれ。